[コメント]
歌が好きで、歌を歌うたびにその歌が裏目にでて不幸になっていく人
[配役]
女(主人公・歌がだいすき)
主人公の母
電車の乗客1~5
ミュージカル劇場の客1~5
ミュージカル劇場の支配人
主人公のアパートの管理人
アパートの隣人1~4
おっさん
タケシの母・タケシ・銀行員・銀行強盗・クララ
※7名いれば上演できる。
明転。 | ||
田舎の駅のホームである。 | ||
女が1人立っている。大きい荷物。 | ||
その母が近くに立っている。 | ||
女 |
あと二分。東京かあ。どんなところだろう。 気持ちが高ぶってきちゃった。 |
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駅のホームの周囲には、電車を待つ人もいる。 | ||
母 |
気をつけて行きなさいよ。歯は磨きなさいよ。 髪は乾かしてから寝なさいね。 |
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女、唐突にアカペラで歌い始める。周りの人は不審がる。 母はおろおろしている。 |
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<旅立ちのうた> | ||
女 |
♪やりたいこと数えてみたらたくさんあるの ♪できることだけ数えてみたらそんなにないの |
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母 |
(歌と同時に)歌ってないで聞きなさい。 知らない人にはついていかない、お米はうちから送るからね。 食費を節約しすぎないように…聞きなさい、あなたね |
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音楽がかかる。 母はセリフを切られるかのように女にあわせて歌いだす。 いつの間にか周囲の人も歌っている。 |
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コーラス |
♪やらなきゃいけないことだったらたくさんあるの |
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コーラス |
(女声)♪この物語の (男性)主人公は
(全員)女の子 (男性)大好きでただそれだけの |
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コーラス |
♪やらなきゃいけないことだったらたくさんあるの ♪そんなにいっぱい考えられない |
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コーラス |
♪いまはひとつ ♪ただひとつだけを ♪東京に持っていく |
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コーラス |
♪歌が好きで大好きで ♪ずっと歌っていたくて ♪痛々しくなってもかまわな(い) |
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※ひとりだちと母の心配、そのズレを段階的に、元気に表現する |
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<旅立ちのうた・おわり> 突如として歌が終わる。「かまわない」の「い」の部分は聞こえないくらいのタイミングで、母のセリフが入る。 |
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母 | もういいから電車に乗りなさい。 | |
女 | お母さんだって歌ってたじゃない。 | |
母 |
はいはい。 いったい何が見えてるんだろうねえこの子には。 |
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女 | (歌うように)東京でのミュージカル三昧の生活が見えてる! | |
母 |
(あきらめたように)お前はミュージカルみたいな人間だねえ。 突然歌いだす人、お前以外に見たことないもの。 |
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女 | だから、お母さんだって、歌って・・・ | |
母 | ほら、乗りなさい。はじめて乗るんだから、気をつけてね。 | |
女 | うん、電話するからね。 | |
女、電車に乗る。 | ||
母 | ほんとに気づいていないのかしら。 | |
電車の音。 | ||
人がだんだん乗ってくる。 | ||
女 |
これが電車。 いつ、ちんちん言うんだろう。 速いなあ。すごぉい。気持ちが高ぶってきちゃった。 |
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電車の音のリズムが、ドラムのリズムに変わってくる。 気持ちの昂りを表現する、メタル調の曲に変わる。 |
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<ちんでん> | ||
女 |
♪これが電車
(他の客も歌に加わる) ♪ちんちん 電車 ♪卑猥な ことを 言ったわ
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客1 |
(現実に戻る) うるせーぞ!電車の中で何大声で歌ってんだ! |
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女 | す、すみません! 何怒ってるんですか? | |
客3 | うるせえんだよ | |
客4 | 眠れないんだよ | |
客5 | マナー守れよ | |
女 | 静かにします! …おこられちゃった。 | |
女 |
(しばらくすると、気持ちが昂るのをおさえられない) ♪これが電車
(他の客も歌に加わり) |
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客1 | とたんにこれかよ! 静かにしろよ! | |
女 | すみません! | |
女 |
♪静かだと つまんない ♪歌えば いいのに |
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女 | ♪歌おう | |
客たち | ♪声涸れるまで | |
女 | ♪歌おう | |
客たち | ♪命の限り | |
女・客 | ♪歌えれば それでいい | |
<ちんでん・おわり> 歌い終わりと同時に、客のセリフが入る。 |
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客1 | いいかげんにしろよ! | |
女 | すいません! 私昂ると歌っちゃうんです! | |
客2 | とんでもない奴だな! | |
客3 | 降りろ! 迷惑だ! | |
女 | そんな! 私東京までいかないといけないんです! | |
客4 | この駅で降りろよ! | |
客たち | 降りろ、降りろ! 降りろ!! | |
女 | そんな~ | |
女は下ろされる。 | ||
客たちは電車に乗っていってしまう。取り残される女。 客たちの中に、おっさんがいる。 |
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おっさんは、女のことを見ながら去る。 | ||
女 |
・・・みんなノリノリで歌ってたのに、急に怒り出して、変なの。 でもどうしよう・・・こんな、西八王子なんて何もないところで降ろされてしまった。電車はダメかなあ。歩くか! あ、る、こー! あ、る、こー! |
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女はハケて、戻るとボロボロになっている | ||
杖をついている。 | ||
女 | 私は、元、気、… 国分寺か… | |
舞台はミュージカル劇場に変わる。 | ||
女と劇場支配人が下手から入場。 | ||
女、よりぼろぼろになっている。 | ||
二人は、椅子を下手奥に4つ並べる。 | ||
女 | なんとか初出勤には間に合った。 | |
支配人 |
初日から遅刻ギリギリというのは感心しないね。 明日から気をつけるように。 |
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女 |
(劇場支配人に)はい。すみません。 でも、タダでミュージカルが見放題なんて、いいところで仕事が見つかった。 |
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客が上手から入場。 | ||
女 | (誘導しながら)いらっしゃいませ いらっしゃいませ | |
客は順次、席に着く。 | ||
女 | まもなく開演でございます。 | |
暗転し、静かな舞台。 | ||
ミュージカルが始まる。オペラ座の怪人の音楽がかかる。 | ||
女 |
始まった! ファントム様―! シャンデリアー! 気持ちが高ぶってきたぞ! |
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女は興奮して、ミュージカルとはぜんぜん違う歌を歌ってしまう。 | ||
<歌が大好き 歓喜のイメージ> | ||
女 |
♪うれしい たのしい だいすき ♪ミュージカルだわ |
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客も歌い踊る。 | ||
全員 |
♪ミュージカル ♪ミュージカル ♪なぜか突然歌いだす ♪そこがいい それがいい ♪歌が大好き |
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<歌が大好き 歓喜のイメージ・おわり> | ||
劇場支配人 | 働きに来たのか営業妨害に来たのかどっちだ! | |
女 | またやっちゃった。すみません! | |
観客1 | 誘導員が歌ってんじゃねー! | |
観客2 | いるんだよな、現実とミュージカルがごっちゃになるやつが。 | |
観客3 | いるのか。 | |
劇場支配人 | とにかくきみはクビだ。 | |
女 | そんな! | |
劇場のひとたちは去る。 | ||
舞台は女の部屋に変わる。隣人たちは、周囲で料理や掃除をしている。 | ||
女は落ち込んでゴロゴロしている。 |
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女 | どうしよう。この部屋の家賃もあるのに。うーおーあー。 | |
<♪家で歌う> | ||
女 |
♪ああー! ♪ああー! ♪ぼろべっぽー! げろぶっちょ! ♪だーぼやーん! |
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隣人たちは、家事に使っていた道具を楽器に見立てて歌いだす | ||
全員 |
♪ぜんぶリセット これでリセット ♪明日はいい日だ 何をしようかな ♪明日はいい日だ 何をしようかな |
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<♪家で歌う・おわり> | ||
歌い終わると、隣人たちは楽器に見立てていたものを本来の用途として使い始め、女を迷惑そうに見る。 | ||
管理人が出てくる。 | ||
管理人 | あの~ | |
女 | はい? あ、管理人さん! | |
管理人 | ずいぶん元気みたいだね | |
女 | はい! おちんこだりもしたけれどわたしは元気です! | |
管理人 | なんて言った? | |
女 | いえなんでも | |
管理人 | そうかいそれなら安心だ。実はね、あなたの歌がうるさいって上下左右の部屋から苦情が来ててね | |
女 | ま、ま、まさか | |
管理人 | この部屋をでていってもらおうか! | |
女 | ええええーー!!! | |
女、一人になる。音楽がかかる。 | ||
<♪夢やぶれそう> | ||
女 |
♪職もなく 家もなく 私には 歌だけ ♪歌わなければいいのは わかってるけど ♪歌わずには いられない |
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バラード調の曲にあわせて、おっさんが入場。 | ||
激しい悲しみを全身で表現している。 | ||
女 |
変なおじさん! こんな変な人がいるの。 やっぱり都会はすごい。 ・・・何かしら、私、感動してる |
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女は歌う。おっさんは踊る。 | ||
女 |
♪歌いたい 歌えない ♪歌いたい 歌えない ♪黙って 生きていこう ♪そしたら 楽に なれる |
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<♪夢やぶれそう・おわり> | ||
おっさん、女に気付く。 | ||
おっさん | (息切れしながら)きみは、変態か。 | |
女 | おまえや! | |
おっさん | やっと見つけた。そんな、人目もはばからず歌う、変態を。 | |
女 | 人目もはばからずに踊ってるのはあなたです。 | |
おっさん | 俺は、高ぶると踊ってしまうからな。 | |
女 | えっ。 | |
おっさん | お前は、高ぶると歌ってしまうんじゃないか。 | |
女 | どうして分かったの? | |
おっさん |
分かるさ。俺たちは同じだ。だからきみに忠告に来た。 きみは20年後、どうなると思う? |
|
女 | どうなるの? | |
おっさん |
俺のようになるのさ。 社会には疎まれ、友達からも家族からも白い目で見られることになる。 |
|
女 | でも、私の周りは、みんなノリノリで歌ってくれるから… | |
おっさん | もう気づいたほうがいいんだ。それは幻だよ。 | |
女 | 幻? | |
おっさん |
俺たちは歌い、踊るときに周りもいっしょにやっているという 幻影を見ているのさ。 ふつう、人前で急に歌ったり踊ったりしないんだよ。 それに気づくのに…20年かかったよ。 |
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女 | (悲しみを抑えきれず)かかりすぎ…。 | |
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音楽がかかる。 <♪せめて ひととき 華やかに>
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女 | ♪歌えば歌うほど | |
おっさん | ♪踊れば踊るほど | |
二人 | ♪不幸になっていく | |
二人 |
♪だったら もういっそ ♪やめよう つらいから ♪やめてしまえばいい ♪やめてしまえばいい |
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二人 |
♪せめて 二人で ♪夢を みながら ♪ひとときだけでも Ah ♪華やかに |
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<♪せめて ひととき 華やかに・おわり> | ||
なんとなく、現実だか幻だかわからないところで周りの人が拍手をしている状況の中、暗転していく | ||
暗転。 | ||
ファミマの入店時の音楽。 | ||
明転。女はコンビニの店員をしている。 | ||
女 |
(歌おうとする)いらっしゃい、 (ふつうに言う)いらっしゃいませ。 (歌おうとする)さんびゃく、 (ふつうに言う)380円になります。 (耐えながら)ありがとう…ございました。 |
|
舞台は街中になる。渋谷の交差点のイメージ。交差点の音。 | ||
通行人が行き交う。 | ||
女は歩き始める。 | ||
正面から踊りおじさんが来る。 | ||
おじさんも踊るのをがまんしている。 | ||
すれ違う。お互いに気づく。 | ||
女・おっさん | ああっ! | |
二人は感動しすぎて踊るのを、歌うのを、止められない。 | ||
通行人が何事かと二人を見る。
<せめてひととき華やかに・リプライズ> |
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女・おっさん |
♪歌えば歌うほど ♪踊れば踊るほど |
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歌と踊り、周りの人が見ている | ||
女 | (ハッと気づき)ごめんなさい! | |
周囲の人 | (ちょっとのタメがあり、拍手) | |
女・おっさん | え?! | |
おっさん | これは、現実か? | |
女 | 幻じゃないかしら | |
おっさん | ちょっと、叩いてみてくれないか(頬を) | |
女 | (おっさんの顔を正面から叩く) | |
おっさん |
叩いてくれと言われて正面から行くひとは初めて見たよ でもすごい痛い。どうやら夢じゃないらしい。 |
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女 | どうして受け入れられてるの? | |
おっさん | わからないが、俺たちが二人だからじゃないか。 | |
女 | 歌だけでなく。 | |
おっさん |
踊りだけでなく。二つがこう、いっしょになったときに、 俺たちが見ていた幻が、現実になる、とか… |
|
女 | でも、本当かしら。 | |
おっさん | 試して、みようか。 | |
二人は、もう一度試してみようと、歌い踊る。 | ||
曲調が、明るく、元気なものに変わる。 見ている人たちも歌い踊る。 |
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全員 |
♪せめて ふたりで ♪華やかに |
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観客1 | ブラボー! | |
観客3 | すばらしい! | |
観客2 | 私、こんな大きい声出したの久しぶり。 | |
観客4 | 運動はいいなあ。 | |
おっさん | すごい、みんなが本当に踊ってる。こんなのはじめてだ。 | |
女 | みんな本当に歌ってる。こんな力があったのね! | |
おっさん | この力で、世の中の役にたてないだろうか。 | |
女 | できるわ! 二人なら。 | |
おっさん | 二人なら。 | |
<♪歌って踊って生きていく> | ||
前奏。 | ||
どっかの母 | うちのタケシが、ひきこもってしまって・・・ | |
女 | おじさん! | |
おっさん | ああ! | |
女・おっさん |
♪このたびは まことに ♪さしでがましいですが ♪歌って 踊って みませんか |
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どっかの母 | やめてください。タケシをこれ以上悩ませないで。 | |
母が言い終わらないうちにタケシが出てきて踊る。 | ||
女・おっさん・タケシ |
♪歌って 踊って それだけで ♪いいときもある |
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どっかの母 | タケシが出てきたわ! | |
場転。 | ||
銀行強盗。 | ||
強盗 | おまえら、命が惜しければこの銀行の金をぜんぶもってこい! | |
銀行員 | ひええ。 | |
女・おっさん・銀行員 |
♪このたびは まことに ♪さしでがましいですが ♪歌って 踊って みませんか |
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強盗 | なんだおまえら。…ぬぉっ。 | |
女・おっさん・強盗 |
♪歌って 踊って それだけで ♪いいときもある |
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場転。 | ||
クララが出てくる。 | ||
クララ | クララです。(いきなり立って踊る) | |
銀行強盗 | クララが立った! | |
女・おっさん・クララ |
♪歌って 踊って それだけで ♪いいときもある |
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女 | やった。うれしい。こんなに人の役に立てるなんて。 | |
おっさん | これでお金でも稼げればなあ。 | |
女 | 贅沢言わないでよ。 | |
舞台袖からおひねりが飛んでくる。 | ||
おひねりが降ってきてもいい。 | ||
おっさん | おひねりだ! おひねりだ! | |
女 | パンと牛乳が買えるわ! | |
おっさん | よかった、本当によかった。 | |
女 | わたし、おじさんに会えてよかった。 | |
おっさん | 俺は変過ぎてダメだと思ってた。 | |
女 | でもそれは一人だったから。 | |
おっさん | いけそうだな。二人なら。 | |
女 | うん。 | |
全員 |
♪歌って 踊って それだけで ♪いいときもある ♪歌って 踊って それだけしか ♪できなかった ♪だから これからも ♪歌って 踊って 生きていく |
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<♪歌って踊って生きていく・おわり> | ||
暗転。暗転中、前奏がかかる。 明転。(すさまじい量のふらせ)
<♪旅立ちの歌> |
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コーラス |
♪やりたいこと数えてみたらたくさんあるの ♪できることだけ数えてみたらそんなにないの ♪やらなきゃいけないことだったらたくさんあるの ♪そんなにいっぱい考えられない |
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コーラス |
♪歌がすきで だいすきで ♪ずっと歌っていたくて |
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コーラス |
♪いつかはあきらめるかもしれない(I will say goodbye) ♪いつかはあきらめるかもしれない(I will, will, will) ♪それまでは(will say,) ♪歌わせて(not now) |
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終劇 | ||